私たちに身近なスイカの歴史について考えたことはありますか?
私たち日本人が思い浮かべるスイカといえば「日本の夏の風物詩」というイメージがあります。
しかし元々のスイカはどこが原産地だったのか、過去に日本に来たのはいつなのか?
などなど、案外スイカのことについては知らないことの方が多いですよね。
今回はそんなスイカのルーツや、歴史について詳しくご紹介します。
国や人に歴史があるように、スイカにもしっかりとした歴史や物語があるんです。
・はじまりのスイカは美味しくなかった!?美味しくなったのは古代人の努力かも《5000年の歴史》
スイカの原産地はあの国だった!
まず、【スイカ】が一番最初に誕生したのは、なんと2500万年前と言われています。
※ちなみに、わたしたちが学生時代の社会の時間に習った、類人猿が出現したとされる時代です
つまり、そもそも人類よりもはるかに長い歴史を持っているのが、スイカというフルーツなんです。
これだけでもかなりの驚きじゃないでしょうか・・・?
そんな歴史の古いスイカですが、一番最初に発見された場所がアフリカの砂漠地帯であったことから、原産地は南アフリカとされています。
砂漠とあのみずみずしいスイカとなると、なかなかイメージが結び付かないかもしれませんが、スイカはそのほとんどが水分で構成されているため、水の少ない砂漠では貴重な水分となっています。
実はアフリカのカラハリ砂漠では、スイカを水分補給として生活している『サン族』という部族も存在しているのです。
話をスイカの歴史に戻します。
現在、判明している範囲で人類によって意図的にスイカ栽培が始まったのは、およそ4000年も前のエジプトだといわれています。
※スイカの種は、あの有名なツタンカーメン王の墓の中でも発見されていて、壁画にもスイカのような絵が見つかったという情報もあります
・スイカとエジプトの関係性が深すぎた<スイカマニアの歴史シリーズ>
当時のスイカは甘かったり苦かったりと、味は安定していなかったそうですが、歴史の中でどんどん品種改良が繰り返し行われていき、少しずつ苦みのないスイカが栽培できるようになりました。
そうして、「スイカは甘いフルーツ」という認識をされ、スイカの栽培は世界各地に広がっていったのです。
3000年前にはギリシャ、紀元前にはローマと、栽培国は増えていき、様々な場所でスイカは栽培されるようになっていきます。
そこから日本にまで伝わったのは、はっきりとした資料が存在していないため様々な説があります。
大正時代にポルトガル人が長崎に持ち込んだため日本に広まった説や、江戸時代に日本に伝来した説など…様々な諸説があります。
(平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて描かれた「鳥獣戯画」にもスイカのような野菜が描かれているとの情報もあったので、もしかすると、江戸時代よりも前にスイカは日本に伝来したのかもしれません)
また、種苗をアメリカやロシアから輸入し始めたのは、明治時代以降とされていて、大正時代にはアメリカ・中国からスイカの輸入が徐々に始まり、その後持ち込まれたスイカは日本の各地で栽培が根付いていったとされています。
日本では夏の風物詩として人気となったスイカ
『日本の夏』といえば、みなさんは何をイメージしますか?
海・お盆・プール・セミ・甲子園などなど、沢山あるとは思いますが、食べ物というカテゴリーであれば、スイカは今でも多くの人が思い浮かべるものの1つでしょう。
子供の頃であればお祖父さんやお祖母さんのお家で冷えたスイカを食べさせてもらう夏休みであったり、学生時代にみんなでお金を出して大きなスイカを買って、海や川などで冷やして食べるなど、思い出にも残りやすいものですよね。
そんな、日本の夏とは切っても切れない縁のあるスイカですが、いつ頃からよく食べられるようになったのかは前述したとおり、大正時代以降で、昔は大玉スイカが主流でした。
その後、昭和家電の三種の神器といわれる『冷蔵庫』の販売が始まりましたが、庶民に愛されてきたスイカも、大玉では冷やしづらい…ということもあってか、今ではおなじみの小玉スイカが誕生し広まったのは、昭和時代といわれています。
そんな日本に根強い人気のあるスイカ。
まだクーラーもない時代、スイカは解熱効果のある食べ物として、娯楽として食すのではなく、薬として利用される場面もありました。
その効能として、利尿作用があったり、熱射病になった患者の額に冷やしたスイカの皮を当てたりと様々で、古代ギリシャの医師たちもその医学的効能を高く評価していたそうです。
・スイカはいつからフルーツとして扱われていたの?すいかマニアの歴史シリーズ
少し話はそれますが、古代ギリシャといえば医学や天文学、芸術などでも非常に優れていたということで知られており、その頃からスイカについての効能が知られていたと考えると、少し感慨深いものがありますね。
今回のまとめ
今回は『スイカそのもの』が辿ってきた歴史などについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
フルーツや野菜といえば品種改良を重ねられているものが多いですが、スイカも多くの歴史を持っているなんて、少しだけロマンチックに感じてしまいますね。